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建物のイラスト
2026-01-07

I荘

皆様、こんばんわ。

【ひとりごと】のお時間です。

 

今日のお客様はお酒大好きY様。

切なくもビールのようにほろ苦いそんなお話。

 

2024年5月退去をしなければならないY様のサポートする為、初めて自宅を訪問。

チャイムがないタイプの古いアパートで私は木の扉をノックしました。

 

返答はなく中からTVの音だけが聞こえる状況。

『Y様、いらっしゃいますか?株式会社岩住の江上でございます。』

何度か呼びかけると奥から『おらん!』と怒号。

『いますやん』と心で呟いたことを今でも鮮明に覚えています。

 

玄関扉が開いた瞬間、玄関に漂うアルコール臭。それにタバコ。

鼻の奥を突き刺す臭いに、あの時私はどんな顔をしていたのか想像もしたくありません。

お話をしようにも酔っており進まず。私は何度も何度も通いつめました。

 

不思議ですね。何度も通うつめると次第に話をしてくださるようになり、

過去に解体工事のお仕事をしていた事や、お世話になった恩師がいる事、もう会えないがお子様がいる事など。。。

様々な事を僕に伝えてくださいました。

そんなこんなしている間にお引越しの転居先もその年の9月には決まったんです。

なんでしょう。継続は力なりと言ったものでしょうか。

私も自分の事のように喜びました。

 

引っ越しの準備もほぼ終わり私の最後の訪問の日人生初めての経験をする事に。

 

忘れもしない土曜日朝10時頃

引っ越し業者様が来られる日時に確認や退去後の残置物についてのお話をする為、訪問。

木のドアを叩き呼びかけるが応答なし。

室内からはTVの音だけが聞こえる状況。(デジャブ?)

そんな思いでドアノブを回すと鍵が開いており中からは苦しむ声。

 

そう、Y様は吐血し倒れていたんです。

すぐに救急車へ連絡。警察にも連絡。

私も初めての経験にて動揺を隠せませんでした。

 

後日、お客様は何とか一命を取り留めその後入院。

お話に聞いていました恩人という方から私宛に連絡があり今後について話したいと。Y様の入院中の病院へ集合し話をする事になりました。

 

Y様は看護師の方に手を引かれ歩いてくると恩師へ向かって一礼。

『ご迷惑をおかけしました』と頭を下げました。

『ところでそちら様はどなた様でしょうか』私の方を見て呟いたのです。

 

恩師いわく倒れていた影響で直近の記憶がないとの事で恐らく徐々に思い出すのではないかと。

 

私は言葉がでませんでした。

いろんな話を積み重ね、やっと信頼を気づけた事もあり

様々な思いが脳内を駆け巡りました。

そんな中、私は自己紹介からこれまでの状況を説明。

 

しかし、私もどんな話をお伝えしたのかあまり覚えておらず。

後日恩師からの連絡を待つという事でその日を終えました。

 

・・・結果的に引っ越しは数日ずらし決行。

恩師の方を含め、様々な方のご協力があり無事終了いたしました。

 

それから1ヶ月後・・・

 

私の携帯へY様の恩師の方から連絡がありY様は無事に退院されたとの事で私は最後に取り交わしできなかった書類を持ってY様宅へ向かいました。

 

不安な気持ちを押し殺し訪問。

扉が開くや否やY様は僕にそっと手を差しのべ握手を求めてきました。

 

握ったその手は暖かく『株式会社岩住の江上さん今までありがとうございました。思い出しました。あなたがいろいろ動いてくださった事、救急車を呼び命を救ってくれた事。本当にありがとうございました。』

 

あの日から曇天だった私の心は晴れ、目からは大粒の雨が今にもこぼれそうになりました。

短い時間ではありましたがY様とお話をし自宅をあとにしました。

 

ただ一つ。

 

相変わらず玄関に漂うアルコール臭。それにタバコ。

 

そんな過去のお話。

 

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